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グローバルIT人材×山陰IT企業――ハッカソンから生まれた4つの成果

グローバルIT人材×山陰IT企業――ハッカソンから生まれた4つの成果

日本のテック業界では今、静かに進行する「人材の壁」に、多くの企業が直面しています。同時に、企業はグローバル競争に遅れを取らないために、ITプロダクトの拡大や高度化を目指さざるを得ません。しかし、こうした取り組みを支える人材の確保は容易ではなく、採用は思うように進まないのが現状です。現場のチームは日々の開発に追われ、将来への不安を感じている方も少なくなでしょう。

他方で、世界には高いスキルを持ち、日本で新たな挑戦を望むITエンジニアがたくさんいます。

この2つの世界を、どうつなげるべきでしょうか?

◼️ 海外エンジニア採用の新たなアプローチ

2025年7月25日、私たちは島根県松江市にて国際ハッカソン「Hack Yakumo」を開催しました。参加したのは、ロシア、カザフスタン、キルギス、インド、日本の5カ国から集まった20名のITエンジニアです。

このイベントは、株式会社People Cloudが地域パートナーと連携し、株式会社テクノプロジェクト、東亜ソフトウェア株式会社、株式会社Co-Lift、GONENGO合同会社を含む5社による実行委員会形式で開催されました。私たちの取り組みは着実に広がりを見せています。前回は東京で開催し、今回は出雲を越えて山陰地域全体から企業が集まり、地域展開における新たな一歩となりました。

💬「今回の開催には、山陰地域における高度外国人材の活用に向けた機運を地域全体で高めていく狙いが込められています。今後も継続的にイベントを実施し、多国籍な人材が山陰でともに働き、協働・共創できる土壌づくりを目指していきます」と、People Cloud代表の牧野は語っています。

このハッカソンを通じて、日本企業がグローバルIT人材と出会い、共に挑戦するための実践的で前向きなモデルを構築しました。実際のプロジェクトを一緒に手掛け、現場でスキルを確かめながら、採用リスクを抑えて未来の仲間と巡り合える仕組みです。

◼️ ハッカソン成功の鍵と日本企業への示唆

✔️ 履歴書ではなく、現場での協働

チームは対面で肩を並べ、TypeScript、React、Python、Go、そしてNodeBlocks(株式会社Co-Lift様により開発されているローコードツール)などのさまざまな開発ツールを使いながら、実際の課題解決に取り組みました。

✔️ ミスマッチを防ぐ、実践型エンジニア受け入れモデル

技術履歴書などや面接だけに頼るのではなく、日本企業は選抜された海外エンジニアを短期間受け入れ、実際の開発現場でスキル、カルチャーフィット、コミュニケーション力を評価できます。

✔️ カルチャーとコミュニケーションの適合性

本プログラムに参加した東欧のエンジニアは、優れた技術力に加え、高いEQ(感情知能)、英語での円滑なやり取り、協調性、課題に対する主体的な取り組み、日本の職場文化に対する柔軟性を示しました。

✔️ 短期間でのMVP開発=ビジネス展開の可能性

わずか数日間で、各チームは介護、メンタルヘルス、ウェルビーイングといった社会課題に対応する、実用レベルのアプリケーションを開発し、すぐに展開可能なプロトタイプとして完成させました。

💬 「従来の採用よりもはるかにスピーディーで、面接よりも遥かに実態が見えるアプローチです。履歴書ではなく、実際にエンジニアが現場でどう動くかを確認できます。」

— Hello, Yaponiya! エンジニア採用支援部
アナトーリ・コルビノフ

◼️ Hack Yakumoで生まれた実例成果

4つの多国籍チームが協働し、スマート介護システムやウェルビーイング支援アプリなど、イノベーティブなアプリケーションを共同開発しました。React、TypeScript、Python、そして日本発のローコード開発プラットフォーム「NodeBlocks」など、最新の技術スタックを活用しています。

本ハッカソンでは、実行委員会メンバー・株式会社テクノプロジェクトが提供した実際のビジネス課題をテーマに、【1】介護ヘルパーと利用者の効率的なマッチング、【2】オフィスワーカーの健康意識向上と行動変容、の2分野でソリューションを構想・開発しました。

また、今回のハッカソンには、参加者・来場者あわせて過去最多となる約80名が集まりました。成果報告の場には、山陰地域に加え、東京・大阪・九州など全国各地から24の企業・団体の関係者が来場し、各チームによるアプリケーションの発表に熱心に耳を傾けていました。

チームA:チームで楽しく健康習慣をつくるWebアプリ

「カインドネスホイール」で毎日のアクティビティを決め、実行するとポイントやバッジを獲得。

チームや会社全体のランキングで競い合いながら、自然と健康意識と団結力を高められます。

AIチャットボットが個人に合った活動も提案し、仕事の合間や休憩中にも手軽に取り組めます。

🚀 成果物の概要:

・ゲーミフィケーション要素を活用し、健康習慣を自然に促進

・ポイント・バッジによるモチベーション設計

・チーム&全社ランキングによる競争促進

・リーダーのダッシュボード分析機能(個別フォローやチーム改善に活用可能)

・AIチャットボットによるパーソナライズ提案

💬 審査員コメント (株式会社テクノプロジェクトバリューディスカバリー部部長 壽山 雄己)

「国際色豊かなチームでありながら、メンバー間のコミュニケーションは非常に円滑で、見事なチームワークが発揮されていました。皆様のアプリは、健康生活の実践と習慣化という難しい課題に対して、ユーザーが楽しく取り組めるよう工夫されており、非常に印象的でした。」

チームB:ケアを必要とする人と支援する人をつなぐアプリを開発

複数のケア提供者による協力的かつ継続的な支援を促進し、信頼関係の構築を目指すアプリを開発しました。

🚀 成果物の概要:

 ・介護サービスの分類(食事・外出・衛生など)
・アプリ内チャット機能(利用者・介護者・サポートチーム間)
・複数介護者との継続的な関係構築と緊急対応
・PWA対応・文字拡大機能(高齢者に配慮)
・報告システム(介護の質向上)
・サブスクリプションプラン選択と保険会社対応

💬 審査員コメント (株式会社People Cloud代表取締役牧野 寛)

「ビジネスの観点から見ると、チームの皆さんがアプリのターゲットユーザーを明確に定義されていた点が素晴らしいと感じました。短期間で非常に優れたUI/UXを実現されており、完成度の高いプロダクトに仕上がっていました。市場に展開できるレベルのアプリだと思います。」

チームC:肌状態に基づいた健康管理アプリを開発

肌の状態をもとに健康や栄養管理をサポートするアプリを開発しました。

🚀 成果物の概要:

 ・高度な肌状態評価(ニューラルネットワーク技術を活用)
・肌状態の可視化(週次チャート・トレンド分析・リアルタイム更新)
・ゲーミフィケーション機能(写真投稿でXP獲得、RPG風レベル進行)

💬 審査員コメント (東亜ソフトウェア株式会社取締役常務 川端 今日子氏)

「機械学習技術を生活の質の向上に活用するというアイデアは、非常に時宜を得た重要な取り組みだと思います。短期間でこれほど高度な技術を実装されたことは、皆様の高い専門性とスキルを示しています。」

チームD:「心」と「文化」をつなぐ介護マッチングアプリ「Kokoro Care」を開発

ケアを必要とする人と、ケアを届けたい人をつなぐアプリを開発。支援の提供だけでなく、人と人とのつながりも重視しています。

🚀 成果物の概要:

 ・介護マッチング機能(希望内容・日時に基づく柔軟な募集・オファー)
・報酬設定機能(介護者が報酬額を自由に設定可能)
・評価・レビュー機能(サービス品質向上と介護者の意欲向上)
・支え合いサービス機能(介護以外の助け合いにも活用可能)
・外部システム連携(スケジュールやプロフィール情報をAPIで連携)

💬 審査員コメント (株式会社Co-Lift代表取締役木下 寛大氏)

「皆さんが開発されたアプリは、実際の利用シーンが非常に想像しやすく、介護者や要介護者の生活を本当に支えてくれる可能性を秘めていると感じました。」

◼️ 異文化協働で加速する、山陰IT企業の人材育成

今回のハッカソンには、株式会社テクノプロジェクトや東亜ソフトウェア株式会社をはじめとする山陰のIT企業が参加し、将来的にさらなるエンジニア採用の可能性を見据えながら、自社エンジニアの成長を後押ししました。

実際の開発現場を模したプロジェクトに取り組む中で、新しいツールやフレームワークを試し、東欧出身の高度な技術を持つエンジニアとの協働を通じて、新たな視点や刺激を得ることができました。

「これまで試したことのない技術に挑戦できて、自信につながった」「文化の異なる仲間とのやりとりから、視野が広がった」——そんな声が参加したエンジニアから多く寄せられました。

異なる背景を持つ仲間と、ひとつの目標に向かって開発を進める体験は、技術だけでなく、人としても大きく成長できる時間だったのではないでしょうか。

こうした取り組みを通じて、地域の企業と世界の技術人材がつながる新しい可能性が、少しずつ広がっています。

◼️ 次のステップ:連携・学習・採用へ

Hack Yakumo 2025を通じて、国境を越えたエンジニア同士の協働が現実的かつ迅速に成果を生み出すことが実証されました。

貴社が以下のような課題や関心をお持ちであれば、ぜひご相談ください:

  • 採用の負担を抑えつつ、優秀な海外エンジニアと出会いたい

  • 実プロジェクトを通じてエンジニアのスキルを評価したい

  • 東欧エンジニアとの共同開発を通じて、自社チームの技術力を高めたい

  • 今後のハッカソンへの協賛や共催を検討したい

もしご興味がありましたら、お気軽にお問い合わせください。貴社の採用課題を解決するお手伝いができることを楽しみにしております!

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